カテゴリー:ガラスの種類・特徴
目次
ガラスの交換について検討し始めると、さまざまなガラスの種類に触れることになります。 普段、多くのガラス製品に囲まれて生活をしていても、いざ「ガラスの種類の名前」を言われても…それがいったいどういうものなのか、わからない方も多いことでしょう。
ガラスの中でも、特殊な技術を用いて特別な性能を付加された商品は、さまざまな場所で活用され人気を集めています。
その中の一つである「熱処理ガラス」について、紹介していきます。 熱処理ガラスとは、いったいどのようなものなのでしょうか?
知っておきたい特徴や熱処理ガラスの種類、おすすめの採用場所などを、わかりやすく紹介していきます。
熱処理ガラスとは
熱処理ガラスは、通常のガラス(フロートガラス)に熱処理を加えて作られます。 ガラスに熱を加えて、約650℃から700℃まで上昇させたら、その後、ガラスの表面に冷たい空気を吹き付けます。
ガラスの表面は急激に冷やされ、表面に圧縮応力層と呼ばれる特殊な層を作り出します。 これにより、ガラスの性質が変化し、通常よりも割れにくい素材になります。
熱処理ガラスは、別名「強化ガラス」と呼ばれることもあります。 破壊するためには通常よりも大きな力が必要となることから、さまざまな場所で活用されています。
また、加熱してから冷却する時間を通常よりも遅くする「倍強化ガラス」という種類も存在しています。 倍強化ガラスは通常のガラスよりも強度が高いものの、強化ガラスよりも強度は低くなります。 こちらも熱処理を加えることで作られるので、熱処理ガラスの種類の一つとなります。
このほかにも、さまざまな場所に活用できる熱処理ガラスだからこそ、デザインにこだわった製品も数多くあります。
印刷焼き付け熱処理ガラス
透明ガラスにモチーフを焼き付けて、表面に模様をデザインします。 その後熱処理を加えることで、通常のガラスよりも強度を出すことが可能です。
焼き付けるモチーフによって、さまざまな模様をデザインすることが可能で、選ぶ側が好みに合わせて選択できるというメリットがあります。
カスミ熱処理ガラス
カスミ模様のフロートガラスに熱処理をすることで作られるのが、カスミ熱処理ガラスです。
熱処理で強度が高まるのはもちろん、カスミガラスで適度に目線を遮ってくれる点が魅力の一つです。 生活の中のさまざまな場所で活用されています。
熱処理ガラスの特徴
では次に、熱処理ガラスの特徴について、具体的に紹介していきます。 熱処理ガラスにはどのような特徴があり、またどのような場所に採用すると良いのでしょうか。
特徴1「普通のガラスよりも割れにくい」
熱処理ガラスの特徴を語る上で、まず欠かせないのがその「強度」についてです。 ガラスという素材には、さまざまなメリットがあります。
- 透明の素材で光を遮らない
- 温度上昇に伴い形を変化させ、成形しやすい
- 長期間使用できる
これらの特徴は、ほかの素材にはないもので、人間は古い時代からさまざまな場所でガラスを活用してきました。
しかし一方で、デメリットについても無視できません。
- 衝撃に弱く、すぐに割れてしまう
- 割れたときに鋭利な形になり、けがをしやすい
よりガラスを活用するためには、これらのデメリットを克服する必要がありました。 このために開発されたのが、熱処理ガラスなのです。
通常のガラスに熱処理を施すことで、強度は3倍から5倍にまで伸びます。 衝撃を加えられやすい場面でも、簡単に割れることはないでしょう。
特徴2「割れたときには粒状になる」
熱処理ガラスは、ガラス自体のデメリットについても、解決してくれます。
割れにくい素材ではあるものの、熱処理ガラスは「絶対に割れない」というものではありません。 耐えられる以上の力が加われば、当然ガラスは割れてしまいますが、このときの破片はこまかな粒状になります。 通常のガラスのように、破片でケガをすることはないでしょう。
熱処理ガラスは、ほんの少しのヒビでも、内部に到達すれば全体がボロボロに割れてしまいます。 表面が強化されているとはいえ、「絶対に割れない」というわけではなく、さらに「ごく安全に割れる」という特徴を持っているため、残念ながら「防犯ガラスとしての機能は果たさない」と考えられています。
特徴3「通常のガラスよりも厚みがある」
熱処理ガラスは、熱を加えて製造されます。
しかし熱を加えて表面に特殊な層を作り出すためには、もともとのガラスに、それなりの厚みがなければ実現できません。 このため熱処理ガラスは、通常のガラスと比較して厚みがあります。
ごく普通のフロートガラスの場合は2ミリや3ミリといった、非常に薄いタイプも選択できますが、熱処理ガラスの場合は5ミリからのラインナップがほとんどです。
特徴4「後から加工はできない」
熱処理をして表面を強化したガラスは、残念ながら後から加工を行うことができません。 「ここに穴をあけたい」「カットして大きさを変えたい」という要望もあるかと思いますが、後から対応することは不可能です。
「穴をあける」「カットする」という作業でガラスに傷をつければ、そこからすぐに割れて広がっていってしまうためです。
熱処理ガラスを作る際に、熱処理はガラス製造の最終ステップで行われます。 使う場所をしっかりと考え、必要な加工はすべてあらかじめ終わらせておく必要があります。
採用場所1「窓ガラス」
では次に、熱処理ガラスにおすすめの採用場所を紹介していきます。
まずは定番の窓ガラスです。 防犯性能は高くないものの、安全性は抜群の熱処理ガラスですから、子どもたちが多い場所や走り回ることが想定される場所に導入すると良いでしょう。
家庭や学校などで、「窓ガラスが割れる」というトラブルは決して少なくありません。 万が一割れてしまったときでも、熱処理ガラスなら、その後のケガを防ぐことができます。
採用場所2「室内建具」
簡単に割れにくい性質を活かし、室内建具に採用するのもおすすめの方法です。 デザインを施した熱処理ガラスやカスミ熱処理ガラスは、生活する人の目線を適度に遮ってくれます。 室内であれば、防犯性能は低くても構いません。 強度の高さを存分に活かせるため、おすすめできる採用場所と言えます。
採用場所3「家具やインテリア」
ガラスのテーブルやインテリアグッズには、独特の雰囲気があり、高い人気を誇っています。 通常のガラスの場合は、ちょっとした衝撃ですぐに破損してしまうかもしれません。
しかし、熱処理ガラスであれば、トラブルを防ぎやすくなります。 お気に入りのアイテムだからこそ、熱処理ガラスを採用してきちんと守ることをおすすめします。
熱処理ガラスの耐用年数
熱処理ガラスは、そのほかの種類のガラスと同じく、非常に長い期間使い続けることが可能です。 傷が入ることさえなければ、20年以上使用することもできるでしょう。 耐用年数は、非常に長いと言えます。
とはいえ熱処理を施すことにより、表面に小さな傷がつきやすくなります。 長く使い続けると、見た目に変化が現れてくるケースもあると、頭に入れておきましょう。
まとめ
熱処理を加えて表面を強化したガラスには、非常に多くのメリットがあります。 安全性を高めることで、よりガラス製品を身近に感じられることでしょう。
残念ながら防犯性能はあまり高くはありませんが、室内への採用や、人目に触れやすい場所への採用であれば、家族の安全を守ってくれるガラスとなるはず。 ぜひ積極的に採用を検討してみてください。