カテゴリー:ガラスの種類・特徴
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真空ガラスと聞いてどのようなものかイメージできるでしょうか? 真空ガラスは、窓選びなどで必ず知っておくべきガラスの種類です。 ここでは、「真空ガラスとは」「どのような効果があるのか」「補助金は出るのか」などの疑問に分かりやすくお答えします。リフォームや新築を検討している方は、必見です。
真空ガラスとは
真空ガラスとは2枚のガラスの中間に真空層を作り上げることで一般的な複層ガラス(ペアガラス)に比べて約2倍の断熱効果を発揮できるガラスをいいます。
熱が伝わるには「伝導」「対流」「放射」の3つから伝わりますが、真空ガラスでは「伝導」と「対流」を真空層で防ぐことで断熱性能に貢献し、残りの放射は金属膜で抑えることでさらに断熱効果を上げています。 以下では、真空ガラスの特徴を分かりやすくまとめました。
熱の伝導
通常はものの中に熱が伝わるためそのもの自体が熱くなりますが真空ガラスの場合ペアガラスの間が真空になっているので、ものへの伝導は起こりません。
熱の対流
流体による熱移動を「対流」と呼び、通常空気や水などがある環境では必ず対流を受けます。しかし空気と水両方がない真空では、対流が起こることはありません。
熱の放射
ものから発する熱のエネルギーが別のものへと熱を移すことを「放射」と呼びます。これは、暖炉の近くにいると暖かくなる原理と同じです。しかし、真空ガラスでは特殊な金属膜によって放射も抑えられているので、限りなく熱の浸透を防ぐことができます、
断熱性能に特化した真空ガラスはエアコンなどの省エネにも繋がり、冬でも部屋の熱を逃がさず暖かく過ごすことができます。
また、真空ガラスによく似た二重ガラスには、以下のようなものがあります。
真空ガラス以外の二重ガラス
複層ガラス
スペーサーと呼ばれる金属部品で2枚のガラス間に空洞を作り乾燥空気を封入しているタイプです。赤外線カットや防犯対策、防火などの機能が備わっています。
防犯ガラス
近年空き巣被害の増加とともに防犯対策も進化を遂げています。戸建住宅の約7割がガラス破りと言われていますが、防犯ガラスでは2枚のガラスの間に強靭な中間膜やポリカーボネート板などを挟み込むことでドライバーやバールなどにも高い耐性を発揮します。
防音ガラス
ガラスは音に弱いという概念を覆した窓ガラスです。防音ガラスは2枚以上のガラスに中間膜を挟み込んだ特殊なガラスをいい、騒音などの振動を熱に置き換えることで音の波を消すという原理を利用しています。
強化ガラス
板ガラスを約700度の高熱まで熱した後、空気を一気に吹き付けて急速に冷やします。これにより圧縮層を持たせ、3~5倍の強度を持たせているのが強化ガラスです。万が一割れてしまった場合でも破片は粒状になるため、お子様がいる家庭でも安心して設置することができます。
防災ガラス
防災ガラスは2枚のガラスの間に中間膜を挟み込んでいます。地震または台風などの災害時などに活躍し、万が一外からの衝撃によりガラスが割れてしまっても中間膜があるため飛散することを抑えられます。
このように真空ガラス以外にもさまざまな種類のガラスが存在しますが、真空ガラスは断熱性能だけで見るとトップクラスと言えるでしょう。
真空ガラスは結露に強いのか
冬場の結露に悩まされている方も多いのではないでしょうか? 寒い冬や梅雨時期に発生しやすい結露はカーテンや窓枠なども汚してしまいます。 窓枠が木製だった場合(近年の建物では樹脂製のものを使用したり、塗装やコーティングを施してあるのであまり心配はいりません)、水が染み込んで腐食する可能性があります。
また、結露はシックハウス症候群の原因のひとつであるカビを発生させてしまいます。このように、結露を原因としたトラブルにはさまざまなものがありますが、以下では真空ガラスと結露の関係性についてまとめました。
20度の室内で湿度が60%の場合、外の気温が8度に下がると結露を生み出してしまいます。しかし、真空ガラスの場合は外の気温がマイナス20度以上になるまで結露を抑えられるので、曇ることもなく視界も鮮明に見えます。 また、真空ガラスは結露によるカビやダニの発生なども抑制できるため、清潔な空間を保つことが可能です。
太陽の暖かさは室内に入らないの?
冬時期に暖房をかけていても全く暖まらないという事態に悩まされていませんか? 真空ガラスは優れたテクノロジーを用いた断熱ガラスのため、太陽の暖かさを取り入れながら部屋の暖かい空気を閉じ込めることが可能です。
そのため、窓辺が冷える時期でも冷えの侵入を防ぎ室内の温度を著しく下げてしまうことはありません。
また、真空ガラスは表面の温度が下がりにくいのも特徴の1つです。 冬本番を迎えたとしても1枚ガラスやペアガラスよりもはるかに暖かい空間を維持でき、窓辺に近付いても寒さを感じにくいでしょう。 真空ガラスを導入している住宅では天井から床までの温度差が少なくなるため、立っていても座っていても足元の暖かさは持続されます。
省エネできるって本当?
冬場に欠かせないのがエアコンによる暖房です。エアコンはこまめなON/OFFよりも長時間稼働させ続けることで電気代を節約できると言われていますが、熱そのものが部屋から逃げてしまっては意味がありません。
その点、真空ガラスは年間で約40%近い暖房費の節約ができると言われています。 暖房費用が年間100,000円かかっていたとしたら60,000円へとコストダウンできるため、年間通して40,000円もの節約ができます。
真空ガラスは防音に強いのか
断熱や省エネ効果の次に気になるのが、真空ガラスそのものの防音効果ではないでしょうか? 断熱効果に優れていても音が筒抜けでは一長一短ですよね。 音は窓だけに限らず外壁や床、天井などからも抜けていきますが、外壁に面した窓ガラスに防音効果があれば大きな安心感を得られること間違いありません。 そこで、以下では真空ガラスの防音効果についてまとめました。
完全防音はできないが遮音効果を得られる
音は窓だけでなくさまざまな場所から抜けてしまうため、もし一部屋を完全に防音をするとなれば石膏ボードや断熱材を剥がすなどの大規模な工事が必要です。
しかし、「少しでもいいから音を防ぎたい、または騒音対策したい」と悩んでいる場合は、真空ガラスの遮音効果が活躍するでしょう。 ただし、既存の窓ガラスを真空ガラスに変えただけでは窓枠やサッシから音が漏れてしまうため高い遮音効果は期待できません。
真空ガラスの遮音効果を最大限に引き出すには、窓枠やサッシなどの周辺部品も適切なものに変える必要があります。
真空ガラスの購入には補助金が出る?
真空ガラスを購入する際、国から補助金が支給されれば得した気分になりますよね。 「本当に補助金が出るの?」と疑問に感じる方も多いかもしれませんが、現在では国や各地方自治体などで真空ガラスの設置に対する補助金制度が実施されています。
真空ガラスの設置に対する補助金では、国の補助金(SII補助金)から工事金額の1/3が支給され、最大15万円ほどを受け取ることができます。
また、国の補助金と各自治体の補助金は併用することが可能で、本来の工事金額の半分の金額で工事を行うことも可能です。
たとえば、東京都では国、都、自治体が実施する3つの補助金制度を併用することが可能(各自治体に確認が必要)で、真空ガラスの施工を検討している方は補助金制度を利用することで賢く窓のリフォームができます。
また、遮音対策のためにはサッシの交換が必要ですが、ただ真空ガラスに替えるだけであれば既存のサッシを使うことも可能です。 真空ガラスは薄く設計されているためほとんどのサッシに対応し、施工時間もガラス1枚あたり約30分程度と時間がかかりません。
窓ガラスは一度取り付けたら変える機会も少ないため、窓選びでは慎重な商品選び、業者選びを行いましょう。
まとめ
最後に、真空ガラスについて大切なポイントを以下でおさらいしましょう。
- 真空ガラスは2枚のガラスの間に真空層を作り上げることで断熱効果を持つ
- 真空ガラスは伝導、対流、放射の3つの熱に対応した特殊なガラス
- マイナス20度以上まで結露を起こさないので、ダニ発生などの二次災害にも強い
- 太陽の熱を入れつつ室内の熱を逃がさない
- 年間の暖房費を約40%カットできる
- 完全な防音はできないが高い遮音効果がある
- 補助金制度を利用して窓ガラスの工事ができる
- 補助金は国や自治体などで併用できる