カテゴリー:ガラスの種類・特徴
目次
窓は家の中の色々な場所にあり、その場所に応じたガラスが使用されています。 中でも、特にガラスの種類を慎重に選定する窓と言えば「天窓」や「出窓」でしょう。
ここでは、それぞれの窓の特徴や選ばれるガラスの種類に加え、メリット・デメリットもご紹介します。
天窓ガラスにはどんな種類があるのか
まずは、天窓について考えましょう。 天窓は別名「トップライト」とも呼ばれることがあります。家の中にいても頭上から日光が射し込むなんて素敵だなと思ったことのある方も多いことでしょう。
天窓には、大きく分けて2つの種類があります。
1.開閉式天窓
その名の通り、開閉できる天窓です。 多くの場合、外へ突き出したように開くスタイルとなります。 大手メーカーでは、電動と手動の2タイプの開閉式天窓を用意しています。
電動タイプでは、雨が吹き込んでくるとセンサーが感知し、自動で閉めてくれるものもあります。 手動タイプの場合は、レバーなどで開閉します。 天窓を通風口としても活用したい場合は、この開閉式を選ぶのが良いでしょう。
2.固定式天窓
フィックス式とも呼ばれるのが、固定された天窓です。 開閉ができず、もっぱら採光のために用います。
天窓に使用されることの多いガラスの種類は、次の5種類です。
1.強化ガラス
普通の透明なガラスに熱処理した後、急激に冷やすことで造られるガラスです。 普通のガラスと比較すると、その強度は3倍~5倍になるとされています。
強化ガラスの一番の特長は、割れた時の形状です。 普通のガラスが割れると、その破片は先のとがった刃物のような形状になることがあります。うっかり触ってしまうと、鋭利な断面で手を切ってしまうこともあります。
しかし、強化ガラスの場合は割れると砂利の粒のように粉々に砕け散ります。 その破片を触っても、手を切ることはないとされています。
この安全性によって、飲食店や子供が使用する家具などにも安心して使用できるガラスとなっています。
天窓の場合は、普通の窓と違って空中からの落下物の直撃を受ける可能性があります。 トラックや車の往来の激しい道路の近くの場合は、飛び石で窓ガラスが割れてしまうリスクもあります。
このように周囲の環境次第では、天窓の破損を防止するために強化ガラスを使用することも賢明でしょう。
2.網入りガラス
透明なガラスの中に、ワイヤーを入れたガラスです。 大抵の場合、ダイヤ模様かスクエア模様に見える仕方でワイヤーが入っています。 網入りガラスは、ガラスが火災などで過熱された場合に破損して飛び散るのを防ぐためのガラスです。
目隠しのために模様を付けた網入りガラスもあります。ただし網入りガラスは強化ガラスにはできません。 網入りガラスの主要な存在意義としては、防火設備用ガラスということになります。
近くに火気のある工場などがある場合や、隣家と近い場所にある天窓など、外部からの火が入ってきやすい環境・場所にある天窓には網入りガラスが選ばれることもあります。
3.複層ガラス
2枚以上のガラスを重ね、その中間に乾燥空気やガスを封入したものが、複層ガラスです。 断熱材と同様の原理で造られているため、室内の温度調整が容易になります。
夏の暑さや冬の寒さがとりわけ厳しい地域の天窓として適したガラスと言えるでしょう。
4.合わせガラス
割れた際に破片が飛び散りにくいガラスが、合わせガラスです。 その名の通り、2枚以上のガラスを強靭な樹脂膜で貼り合わせる仕方で造られます。そのため普通のガラスと比較して強度が強く、安全性が高いのが特徴です。
メーカーによっては、自分の好きな色・デザインを中に挟んでオリジナルの合わせガラスをオーダーできるところもあります。 安全性も高く、自分好みに仕上げた一枚を天窓ガラスにするのも良いですね。
天窓を付けるメリット
では、天窓を付けることで得られるメリットを調べてみましょう。
1.方角、場所に関わらず採光できる
普通の窓のように側面に取りつけられた窓では、方角や時間によっては陽が当たらないこともあります。また隣家の窓と向かい合わせになってしまったりして、窓を付けること自体が困難な部屋もあるでしょう。
そのような場合に天窓があれば、方角や場所に関わらず、晴れた日の昼間は豊かな採光を得られます。
側面からの採光と比較すると、上部からの採光はおよそ3倍にもなるとされています。小さい天窓を付けるだけでも、たくさんの光が射し込む明るい空間を作ることができます。
天窓からは当然、空が見えます。上を見上げれば空が見える部屋は、いつも特別な開放感を与えてくれることでしょう。 通常、上からの視線は気にしなくてもよくなりますので、近隣に住居がひしめく環境にあってもプライバシーを守ることができます。
2.家全体の風通しを良くする
開閉式の天窓の場合は、風通しを良くすることもメリットです。 空気は上へ上へと滞留していくため、天窓があればよどんだ空気を排出しやすく、室内をいつも新鮮な空気で満たすことができます。
天窓を開けると同時に壁に付いている窓も開けることで、家の中に風の通り道ができます。 夏の暑い日や湿度の高い地域でも、天窓があれば快適に過ごすことができるでしょう。
天窓を付けるデメリット
魅力いっぱいの天窓ですが、若干のデメリットもあります。
1.夏の強い日光で室内の温度が上昇することも
天窓のある方角によっては、夏の強い日差しが射し込み冷房効果が薄れてしまうこともあります。 対策としては、陽の当たる方角の天窓には遮熱ガラスを使用することや、ブラインドのついた天窓にするなどの方法があります。
2.雨漏りのリスクが高まる
天窓に憧れてはいても、雨漏りがするような気がして心配・・・という方もおられるでしょう。 実際、経年劣化が生じた天窓では窓枠などから雨漏りがすることがあります。
天面についた窓である以上、どうしても雨漏りのリスクは高いものとなります。天窓を付ける際にはメーカーの保障体制をよく調べ、何年の間、どのような内容で保証してくれるのかを理解しておきましょう。
出窓ガラスにはどんな種類があるのか
ここからは、出窓について考えていきましょう。 出窓の種類は多く、大きく分けても次の5種類があります。
1.台形出窓
別名「ベイウィンドウ」と呼ばれる、最も基本的な形の出窓です。 下から見上げると台形をしている出窓なので、このように呼ばれています。
2.角型出窓
下から見た時に、長方形のような形をしている出窓を指します。
3.三角出窓
下から見た時に、三角形になっている出窓を指します。多くの場合、ガラスは片方のみが開閉されることになります。
4.トップライト出窓
出窓の上部にもガラスを使用した天窓です。室内に、より豊かに採光することができます。
5.ボウウィンドウ出窓
外で張り出した部分が、弓のような形になっている出窓のことです。 ガラスがはめ殺しになっている場合が多くなります。
出窓に使用されるガラスの種類は、先ほどの天窓の箇所でご紹介したガラスの種類にとほぼ同一です。
しかし出窓は天窓と違い、外部からの視線や防犯面を強く意識しなければなりません。 窓の一部に合わせガラスやフロストガラス(半透明に加工した白っぽいガラス)を用いることができるでしょう。
出窓を付けるメリット
では、出窓にはどんなメリットがあるのでしょうか? おもな点を2つご紹介します。
1.高級感のある佇まいになる
本来日本の建築文化ではなかった出窓は、建物に高級感を添えます。 新築の際、家の雰囲気を西洋風に仕上げたい時などに出窓が選ばれます。
2.室内への採光がしやすくなり、開放感が増す
外に向かってせり出しているため、普通に壁面に取り付けられた窓よりも多くの日光を採光できます。 普通の窓の部屋と比べて、部屋全体が広々としたように感じ開放感を得られることでしょう。
出窓を付けるデメリット
では、出窓のデメリットも考えてみましょう。
1.雨風にさらされる
外に突出している分、普通の窓以上に雨風を強く受けることになります。 台風などの際は、打ち付ける雨によってガラスの隙間から雨水が入り込むこともあります。 また、風の当たる音がより大きくなるという点もあります。 地域によっては、大量の積雪による出窓の破損などの事例も報告されています。
出窓は構造上、雨戸やシャッターなどを取りつけることが困難です。住んでいる地域の気候によっては、デメリットが多く発生するかもしれません。
2.結露しやすい
外へ突出していることは、結露のしやすさにもつながっています。 こまめに内外の清掃をしなければならないでしょう。 お手入れを怠ってしまうと、カビやサビなどが発生する可能性があります。
まとめ
天窓には、強化ガラスや網入りガラスなど、地域や環境に応じた種類のガラスを選ぶことができます。 出窓も地域や環境に合わせ、合わせガラスや複層ガラスを用いることができます。 天窓も出窓も、環境次第ではメリットをデメリットが上回ってしまいます。 窓ガラス選びは、慎重に考慮するようにしましょう。