カテゴリー：ガラスの種類・特徴
目次
窓に使うガラスの中に、「網入りガラス」というのがあります。 網入りガラスとはどんなガラスなのでしょうか。
ここでは、普通の窓ガラスから網入りガラスへ交換するメリットについても見ていきましょう。
網入りガラスの特徴
網入りガラスは、ガラスの中に金網を封入したもので、「線入りガラス」、「ワイヤー入りガラス」、「防火設備用ガラス」と呼ばれることもあります。
ガラスに網が入っているその目的は、火災時にガラスが飛び散るのを防止することにあります。 火災時、熱のためにガラスが割れて飛び散ると、そこから炎が噴き出して隣家に燃え移ったり、隣家からこちらに燃え広がるおそれがあります。 窓に網入りガラスを使うと、このような延焼や類焼を食い止めることができます。
網入りガラスの中でも、「ヒシワイヤ」と「クロスワイヤ」は、建設省告示1360号に規定される防火設備用ガラスとして知られており、火災時に延焼のおそれがある場所で多く使用されています。 ちなみに、ヒシワイヤとは網が45度方向に入ったガラスのことで、クロスワイヤは縦横に網が入ったガラスを指します。
どんなところに使われるのか
ガソリンスタンドや、火を使う飲食店などの店舗では、消防法で網入りガラスを使用することが義務付けられています。 そのほか、店舗や個人の家でも、万が一の火災を考慮して網入りガラスを導入するケースも増えています。 また、最近ではテーブルトップに網入りガラスが使われたり、店舗などのデザインガラスとして使われることもあります。
網入りガラスは火災に強いガラスですが、これを強化ガラスで作ればさらに衝撃にも強くなる、と考える人もいるようです。 しかし、強化ガラスの中に網を入れることはできません。
強化ガラスを作るにはガラスの膨張係数が重要となりますが、ガラスと網（金属）では膨張係数が異なるために、網入りガラスを強化ガラスに加工しようとすると割れてしまいます。
網入りガラスは穴開けなど加工できるの？
網入りガラスは簡単に切断することができます。 金属の網が入っているので、見た目は切断が困難なように見えますが、ガラスカッターを使えば普通の板ガラスとほとんど同じように切断できます。 また、網入りガラスは穴開けなどの加工も容易にできます。
つまり、網入りガラスは金属の網が入っていても、普通のガラスと同じように穴を開けたりして、好きなように加工することが可能なのです。 たとえば、ガラスの縁を磨いて美しい光沢を出すこともできるので、オシャレなテーブルなどに網入りガラスを使う人も増えています。
網入りガラスは、もともと延焼防止のために使われるガラスなので、個人の住宅では台所や風呂場に使われることが多いガラスです。 風呂場ではプライバシー保護のために、片面をすりガラスにした網入りガラスも使われています。
網入りガラスに交換するメリット
網入りガラスはその外見から、割れにくく防犯用ガラスとしても使えると思っている方もいるようです。 しかし、網入りガラスは意外に割れやすく、網も簡単に切れるので防犯効果はあまりありません。 網入りガラスはあくまでも火災を想定し、ガラスが割れても飛散したり焼け落ちたりしないように考慮されたものです。 そのため網入りガラスは、火災時の延焼を食い止めるためのガラスと言えます。
窓ガラスが割れても穴が開かないことで、窓から炎が噴き出したり隣家から炎が流入したりするのを防ぐ効果があります。 もし火災が発生して周囲の住宅に燃え移ると、場合によっては損害賠償を請求される可能性もあります。
網入りガラスを導入することで、万が一火事を出しても、延焼を抑えることができるのです。
網入りガラスはこんな使い方もできる
網入りガラスを防音ガラスにはめ込んで、防音効果と同時に火災に強い窓を作ることができます。 防音ガラスは2～3枚のガラスをはめ込んで、中間層に空気や不活性ガスを封入することで室内の音漏れや外部の騒音が室内に入るのを防ぐものです。
はめ込むガラスのうち、1枚を網入りガラスにすることで、防音効果と延焼や類焼防止が同時に実現できるようになります。
まとめ
網入りガラスは、普通のガラス板の中に金属の網を封入したものです。 網を入れることで、火災時にガラスが割れても焼け落ちることがなく、類焼や延焼を食い止める効果があります。 網入りガラスはガソリンスタンドや飲食店など火を使う店舗では使用が義務付けられています。 しかし、最近では一般家庭でも多く用いられるようになりました。
網入りガラスは見た目は頑丈に見えますが、普通のガラスと同様に割れやすく、網も簡単に切れるので防犯効果はあまり期待できません。
