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カテゴリー:ガラスの手入れ・メンテナンス

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寒い時期、気が付けば窓の内側に水滴がびっしり・・・という「結露」現象は、地域や住宅の構造を問わず一般によく見られるものです。

しかし、ガラス自体の熱伝導率によっては結露の発生が抑えられるようになります。 この記事では、ガラスの熱伝導率についてご紹介します。

ガラスの熱伝導率とは

結露した窓イメージ

熱伝導率とは、いったい何のことでしょうか? 簡単に表現すると、その物質の熱の伝わりやすさはどの程度なのかを指す数値です。

一般的に熱伝導率は、気体<液体<固体の順に大きくなります。数値が小さいほど熱を伝えにくく、高いほど伝えやすいことになります。 物質の中でも特に熱伝導率の高いものは個体の金属です。中でも、アルミニウムはトップの熱伝導率です。

熱伝導率の単位は、ワット・メートル・ケルビンをあらわす「W/(m K)」で表されます。 熱伝導率トップの物資であるアルミニウムは221W/(m K)、その次に熱伝導率の高い鉄は、84W/(m K)です。同じ金属でも、アルミニウムがずば抜けて高いことになりますね。

では、ガラスの熱伝導率は高いのでしょうか? 実は、ガラスの熱伝導率はわずか1W/(m K)です。非常に低く、その値はコンクリートとほぼ同じものです。 熱伝導率が低いということは、ガラスは熱を通しにくい物質であることになります。 これが、結露とどのように関連するのでしょうか?続く部分で詳しく説明します。

冬場に結露が起きるのはガラスの熱伝導率に関係があった?

結露とは、外の気温が低くなることで窓ガラスの温度が下がり、室内の空気中にある湿気が凝縮され水滴となることを言います。 おもに冬場の住宅の窓でよく見られるものです。

この結露が発生する温度を化学的には「露点」と呼びます。例えば、温度20℃・湿度50%の室内の場合の露点温度は、9.6℃となります。

つまり、壁や窓などの表面温度が9.6℃以下になると、結露が発生することになります。 室内温度や湿度によっては、これより高温または低温でも結露が発生します。

しかし先ほど考えたように、ガラスという物質は熱伝導率が極めて低い物質のはずです。 ならばなぜ、冬場の外気温の低下でガラス面の温度が容易に左右されてしまうのでしょうか?

ポイントとなるのは、厚みです。 一般的に、窓ガラスの厚みはどんなに厚いものでも20mm、薄いものなら3mm程度です。 窓ガラスの厚みの平均はおよそ5mm程度とされていますが、いくら熱伝導率の低いガラスでも数mmの厚みしかない物質のため、あっさりと熱を伝えてしまうのです。

それなら、もっとガラスを厚ぼったくすれば結露しにくくなるのでは?と考える方もおられるかもしれません。

熱伝導率の数値がガラスと近いコンクリートのことを考えても分かるように、コンクリートが結露することはまれですよね。 なので、理論上はコンクリートのように厚さを10cmほど持たせたガラスであれば、結露はしにくくなると思われます。

しかし実際には、現実的なことではないでしょう。一般の住宅や建物の窓は、基本的に開閉されます。

ガラスのサイズにもよりますが、厚みのあるガラスは重量も増します。誰もが簡単に開け閉めできる重量という点を考えても、2、3cmが限界と言えるのです。 また、窓ガラスは当然窓枠にはめ込まなければならないため、あまりにガラスの重量が重いと枠では支えきれなくなります。

さらに、一定の厚みを超えたガラスは透明度が下がり、外の景色が見えにくくなってしまいます。 厚すぎるガラスは、光の加減で薄い青色や緑色に見えてしまうこともあり、住宅の窓ガラスとしてはおよそ適していません。

一方、建物の壁の一部としてのガラスや水槽のガラスなど、開閉がされない部分に用いられるガラスは厚みが数十cmにもなります。特に分厚いものでは70cm~80cmと、コンクリート壁よりも厚いかもしれないほど巨大なガラスが使用されています。

建物のガラス壁や水族館の水槽が結露していることは、滅多にありませんよね。 その理由のひとつには、ガラスという物質の熱伝導率の低さを生かせる十分な厚みを持ったガラスだから、ということがあるのです。

熱伝導率が高いガラスと低いガラス、どっちがいいの?

結露が外気温と室内気温の差からも生じやすくなることを考えると、あえて熱伝導率が高く放熱性のあるガラスを使用すれば結露を予防できるのだろうか?と思うかもしれません。

結論から言えば、一般の住宅の窓には熱伝導率の高いガラスは適していません。

様々な加工や開発によって熱伝導率の高いガラスというものが存在するようになっていますが、その多くは電子機器の部品や宇宙船の窓など、極めて特殊な状況下で用いられるガラスとされています。 まず、一般住宅の窓としては普及しないでしょう。

また、仮に熱伝導率の高いガラスを窓として使用するなら、室内の冷暖房の効果は半減してしまいます。根本的にメリットはないと言えるでしょう。 住宅の窓としては、熱伝導率ができるだけ低いガラスを選びましょう。

一口にガラスと言ってもその種類は多様で、それぞれに特徴があります。 続く部分では、熱伝導率が低く結露しにくいガラスについて取り上げます。

結露を防ぎやすいガラスとは?

ここからは、結露を防ぐ点でより効果の高いガラスを3つご紹介します。

1.複層ガラス

別名「ペアガラス」とも呼ばれる複層ガラスは、重ねられた2枚のガラスの間に乾燥した空気を封入したものです。

乾燥した空気の熱伝導率は約0.2 W/(m K)と、非常に低い値です。 複層ガラスはこの空気の熱伝導率の低さを利用し、空気をガラスの間に入れることでいわば断熱材のようなガラスとなっているのです。

複層ガラスなら、外気温が低くても室内側には伝わりにくくなるため、結露を起こしにくくなります。 冷暖房の効果もよく現われるようになり、夏や冬も快適な室内となるでしょう。

寒さが厳しく湿気も多いという、極めて結露しやすい地域では、複層ガラスの効果を高めるために「断熱サッシ」などを併用することも効果的です。

2.真空ガラス

前述の複層ガラスと同じ仕組みですが、ガラスの間に入っているのが空気ではなく「真空層」であるガラスもあります。

複層ガラスよりもさらに断熱性が高いガラスなので、室内側のガラスの温度もより下がりにくくなり、結露防止につながります。

複層ガラスでも、環境によっては結露が発生してしまいます。複層ガラスの効果が今一つだった場合には、真空ガラスを試してみるのも良いかもしれませんね。

3.窓枠が樹脂製のガラス

ガラスメーカーやエクステリアメーカーでは、結露しにくい窓や窓枠の開発が進められています。

一例として、エクステリアメーカー大手では、窓枠に樹脂を使用した窓を販売しています。 その名も「樹脂窓」というこの窓の特長は、窓枠を樹脂にすることで断熱性・遮熱性・気密性を高めたことです。

窓枠の材質が結露に関係あるの?と思われるかもしれませんが、結露という現象が広く見られるようになったきっかけは、アルミサッシの普及でした。 熱伝導率トップのアルミを窓枠にしてしまったことで、一気に結露が生じるようになったのです。

その点、樹脂もガラスの熱伝導率を下回るほどの低い熱伝導率のため、外気温の低さを室内へ伝えにくくなり、結果として結露しにくい窓になります。

ちなみに、樹脂窓のガラスには複層ガラスが採用されています。 樹脂窓は、結露させないための2重の対策が施された窓、ということになりますね。

まとめ

水滴窓イメージ

ガラスは、極めて熱伝導率の低い物質です。

しかし住宅の窓ガラスは薄いため、熱伝導率の低さが生かされず、結露してしまいます。

結露を防止するためには、複層ガラスや真空ガラスなどを設置すると効果的でしょう。

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